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一般社団法人 日本認知症ケア学会ホームページ  The Japanese Society for Dementia Care
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倫理要領
1 適用の範囲
本倫理綱領は,日本認知症ケア学会が主催する学会大会等における研究発表等(講演・講義やシンポジウム等を含む)について適用されるものです.ただし,各機関や専門分野において,より厳密な倫理規定を適用している場合には,その規定を優先します.
2 学術的な倫理的事項
学術的な研究発表には以下のような倫理的事項が適用されます.発表者は自らの責任において,本倫理綱領またはそれに代わる倫理規定を遵守する必要があります.
  1. 引用の明確化
    研究発表において,他人の研究成果や著作などの記述を使用する場合には,必ず原著者名および発表年を明記し,その部分が引用であることを明らかにしなければなりません.引用が明確にされていないと「剽窃」であるとみなされる可能性があります. また,書籍等から,図・表・写真などを使用する場合にも原典を明確にしなければなりません.とくに図・表・写真をそのまま複製使用する場合には,ほとんどの場合に出版社及び著者の許可が必要ですので,注意が必要です.引用許可が必要な可能性がある場合には,個々の発表者が許諾の必要性を確認し,必要に応じて許可を得る必要があります.
  2. データの捏造の禁止
    データを捏造することは絶対にしてはいけません.捏造が露見した場合には,研究者・専門職としての信用を著しく損なう事態となります.データの部分的な改ざんも捏造とみなされますので注意が必要です.いったん研究の対象としたデータの一部を削除したり,仮説に整合したデータや対象者のみを選択的に示したりする場合には,合理的な基準を明示しなければなりません.
3 研究参加者に対する倫理的事項
  1. 参加者の同意
    研究の対象として参加する人には,研究開始前に,本人またはその代理人に,研究の目的・内容,予想される結果などについて説明を行い,同意を得る必要があります.その研究がサービス内容の改善など,業務に伴って行う内容であっても,研究発表を行う場合には,説明と同意が必要です.研究への参加は自由意思に基づいて行われるものあり,同意を得る際には,参加の強制をしてはいけないのは言うまでもありませんが,自由意思を確保する努力を払わねばなりません.そのため,同意をすることもしないことも自由であること,同意しなくても不利益を被ることはないこと,いつでも同意を取り消せることを明確に説明しなければなりません.
  2. データの取得を行う機関等の長の承諾
    データの取得を介護サービス等の提供機関などにおいて行う場合には,そこで行われるサービスに関して責任を負う者(施設長,管理者など)の許諾を得なければなりません.
  3. 参加者に対する必要以上の負担,苦痛,不利益の禁止
    人を研究対象とする研究においては,対象となる人に不必要な負担をかける,または苦痛や不利益をもたらすようなことが予見される研究計画は変更が必要であり,そのまま実施してはいけません.計画にはない予想外の負担,苦痛,不利益などが生じることもあるので,安全確保のための情報は常に把握し,危険性が生じた場合には研究を中止しなければなりません.
  4. 秘密保持
    取得したデータは,第3者に漏らしたり,不用意に紛失したりすることがないように,保管についてあらかじめ方針を定めておき,細心の注意を払う必要があります.
  5. 発表の際の個人情報等への配慮
    研究成果の発表において,事例など個人ごとのデータを用いる場合には,個々の対象者が特定されないような配慮をしなければなりません.個人名を伏せるのはもとより,地名,利用機関名,生活歴の記述のうちの学歴や職業歴等の個人を特定可能な情報についても,公表については配慮しなければなりません.