- 2026年度に開催されます第27回日本認知症ケア学会大会(以下,大会)の大会長を拝命しました長田久雄でございます.ここに大会開催に向けてごあいさつを申し上げます.
- 2000年6月の日本認知症ケア学会設立以来,私は学会の活動に継続して参加してまいりました.この間,痴呆という用語が認知症に変わり,個別ケア,パーソン・センタード・ケアなど,さまざまなケアの方法が工夫・実践され,ケアの質が向上してきたことは異論のないことだと思われます.しかし,若年性認知症,認知症の人の就労,介護離職,ヤングケアラー,介護人材の不足など,対処が急務な課題もいまだ山積しており,今後も,新たな難題が出現してくることでしょう.本学会は,こうした社会状況において,いっそう重要な役割を担うことが求められますし,認知症ケア専門士の活躍も期待されます.
- 本大会では,私が専門としております老年心理学に関連づけて,テーマを「みんなの認知症ケア;生命の誕生から終焉まで」といたしました.このようなテーマを選びました理由のひとつは,人間の一生を生涯発達という視点でとらえる老年心理学の考え方を背景として,認知症は,高齢者だけの問題ではなく,受精・出生から死までの,人の生涯と関連していると考えたことにありました.たとえば,私たち自身も,認知症の人のケアをすることがある一方で,認知症になってケアされるようになることもあるでしょう.さらに,認知症の人とその家族において認知症は,乳幼児から高齢者までのすべての年齢の人に何らかのかかわりをもつ可能性もあるでしょうし,認知症ケアが,そうした人生のさまざまな状況に,縦横に間断なく応じる必要があると感じたことも,このようなテーマを選んだ背景となっております.
- 本大会の趣旨をご理解いただき,本大会が,認知症の人,家族,ケアを担う人に少しでも役に立つ機会となりますよう祈念しております.みなさまには,ぜひともご参加いただき,活発な情報交換をしていただきますようお願い申し上げます.
- 第27回日本認知症ケア学会大会
- 大会長 長田 久雄